ダンボールマイスター
――今年は、米焼酎で漬ける南高梅の梅酒――
こんにちは。
毎年この時期になると、自然と手がのびる“梅しごと”。
例年ならホワイトリカーで仕込む私ですが、今年はちょっとだけ心持ちが違いました。
きっかけは、あの【米騒動】。
物価の不安や輸入への依存が話題になるなかで、ふと「やっぱり日本人にとって“米”って特別なんだな」と感じたのです。
そんな想いから、今年の梅酒は――米焼酎仕込みでいこう、と心に決めました。
◆ 用意した材料
- 南高梅 ……1kg
- 氷砂糖 ……700g(すっきり仕上げに)
- 米焼酎(25度以上)……1.8L
- 梅酒用の広口瓶(4L)
- 清潔な布、竹串、焼酎スプレーまたは熱湯
今回選んだのは、熊本の「白岳 しろ」。
香りは控えめで、梅の風味とふんわり調和してくれる、やさしい米焼酎です。
◆ 梅の下ごしらえ
- 梅を洗う
南高梅は皮がやわらかいので、やさしく水洗い。2〜3時間ほど水にさらしてアク抜きします。 - 水気をふき取る
清潔なタオルで一粒ずつしっかり水分をふき取ります。ここでの丁寧さが、梅酒の透明感に表れます。 - ヘタ取り
竹串でくるりとヘタを取り除きます。小さな作業ですが、手仕事の楽しさを感じる瞬間です。
◆ 瓶の準備と消毒
梅酒づくりにおいて、瓶の衛生管理は最も重要なステップのひとつです。
今回は、熱湯消毒と焼酎消毒の二段構えで、しっかりと準備を整えます。
① 熱湯消毒
- 大きめの鍋でお湯を沸かし、少し冷ました熱湯(80〜90℃)を用意します。
- 空の瓶に直接熱湯を注ぐと割れるおそれがあるため、あらかじめ少量のぬるま湯を入れて瓶を慣らしてから、静かに熱湯を注ぎます。
- 瓶をゆっくり回して、内部全体に熱湯を行き渡らせ、1〜2分ほど置いた後に熱湯を捨てます。
※熱い瓶に冷水をかけるのは絶対にNG。ひび割れや破損の原因になります。
② 自然乾燥
- 熱湯を捨てた後は、瓶を逆さにして自然乾燥。タオルの上などに置いて、中に水滴が残らないよう完全に乾かします。
- 水分が残っていると、後々カビや濁りの原因になるため、時間をかけてしっかり乾燥させるのが大切です。
③ 焼酎消毒
- 瓶が乾いたら、35度以上の焼酎を少量入れて、瓶の中でくるくる回しながら内壁に行き渡らせます。
- 余った焼酎はフタの内側や瓶口にもスプレーまたは清潔な布で塗布して、雑菌の侵入を防ぎます。
この二段階の消毒をしっかり行えば、カビの心配はぐっと減ります。安心して梅を漬け込めますよ。
◆ 漬け込み作業
- 梅と氷砂糖を交互に入れる
瓶の中に、梅→氷砂糖→梅……と層になるように丁寧に入れます。瓶越しに見るその景色も、ひとつの楽しみです。 - 米焼酎を注ぐ
すべての梅がしっかり浸かるように、静かに注ぎます。注ぎ終わった瓶を少し揺らしてなじませてから、しっかりフタを閉めましょう。 - 保存場所へ
直射日光を避け、風通しのよい涼しい場所へ。
瓶の中で、静かにゆっくりと梅と米が出会い、育っていきます。
◆ 仕上がりのイメージ
今回は砂糖を700gと控えめにした分、梅の酸味が際立ち、米焼酎のやわらかくてふくよかな香りが残る仕上がりを目指しました。
1ヶ月でほんのり色づきはじめ、3ヶ月後には飲めるようになりますが、半年〜1年ほど寝かせると、よりまろやかで奥深い味わいに育ちます。
◆ おわりに
この小さな瓶の中に、
「米」という日常の尊さと、「手しごと」という丁寧な時間を閉じ込めて。
季節がめぐる頃、きっと心まで満たしてくれる一杯ができあがるはずです。
今年の梅酒は、“米のちから”を信じて。
あなたもぜひ、米焼酎で仕込んでみませんか?