読書ノート

『ゼロからの吉田松陰』は物書きにとっての哲学書だった

こんにちは。
今日は、遠越段さん著『ゼロからの吉田松陰―常識を打ち破る反骨の教え―』(総合法令出版)を読んで心に残ったことを綴っていきます。

この本は、幕末の思想家・吉田松陰の教えを、現代の私たちにも響く形でわかりやすく解説した一冊です。歴史の中の偉人として語られることの多い松陰ですが、本書では「彼の信念や言葉が、今の時代を生きる私たちにも力を与えてくれる」というメッセージが込められています。

特に、私が大切にしたいと思った5つの教えをピックアップしてご紹介します。


1. 至誠、志を全身全霊で貫ければ動かないものはない。

松陰の口癖とも言える「至誠にして動かざる者は、未だこれ有らざるなり」。
本気で、誠実に、志を持ってぶつかれば、どんな人の心でも動かすことができる。これは、仕事でも人間関係でも、小説を書くうえでも、深く心に刻んでおきたい信念です。うわべの器用さよりも、誠実に想いを届ける力を大切にしたいと改めて感じました。


2. 人生で大切なのは長さではなく何を成したかだ。

松陰が処刑されたのはわずか29歳。しかし、その短い生涯で彼が遺した思想は、時代を超えて多くの人々を動かしました。
「どれだけ長く生きたか」ではなく、「どう生きたか」。
これは、小説を書き続けている私にとっても、1行1行にどれだけの想いを込められるかという問いでもあります。


3. 常識にとらわれてはいけない。諸君、狂いたまえ。

この言葉は、まさに松陰の精神を象徴しています。
「正しいこと」よりも「安全なこと」を選びがちな現代において、あえて“狂う”勇気――常識を壊す覚悟が必要だと教えてくれます。
小説でも、人生でも、誰かが敷いたレールの上を走るのではなく、自分自身の表現を恐れずに貫く力をもらえました。


4. 学問は自分を磨き成長させるためにする。

「いい大学に入るため」「誰かに勝つため」という目的ではなく、学問とは自分自身を高めるためのもの。
これは“学び続ける姿勢”そのものを肯定してくれる言葉でした。創作の世界でも同じ。知識や経験を通して、日々のインプットが自分の文章を磨いていく。そんな地道な積み重ねの大切さを思い出させてくれます。


5. 徳を積み、人と交わり、人を生かしていこう。

最後のこの言葉には、吉田松陰の「人を育てる力」がにじみ出ています。
自分一人で何かを成し遂げるのではなく、周囲の人を活かし、支え合っていくこと。書くという行為もまた、誰かの心に寄り添うものだと思います。
創作を通じて、読者の心に灯りをともせるような人間でありたいと、背筋が伸びるような気持ちになりました。


■この本は、人生のための哲学書だ

『ゼロからの吉田松陰』は、ただの歴史書でもビジネス書でもなく、人生を歩み続けるうえで必要な“根”を与えてくれる哲学書でした。

仕事にも創作にも迷ったとき、きっと何度でも読み返したくなる言葉たちが詰まっています。

吉田松陰の言葉を借りるなら、「狂いたまえ」――自分の内なる声を信じて生きよう。

そんな熱い勇気をもらえる一冊でした。