こんにちは、創作好きの皆さん!
今回は、物語を設計する上で最初にして最大の要、「コンセプト」について掘り下げていきます。
この記事は、ラリー・ブルックス著『工学的ストーリー創作入門』(フィルムアート社)をベースに、小説創作にも活かせる形でまとめたものです。
◾️コンセプトとは「物語の心臓部」
物語を書くとき、あなたは何から考え始めますか?
- キャラ?
- 世界観?
- プロットのオチ?
それももちろん大切。でも本書では、まず最初に作るべきは **「コンセプト」**だと説きます。
✅ 一言でいうと:
「この物語って、どんな面白さがあるの?」を説明できる核
コンセプトとは、ただの“設定”ではなく、読者に「続きを知りたい!」と感じさせる“仕掛け”です。
◾️「もし〜なら」で生まれるコンセプト
著者のラリー・ブルックスは、コンセプトを生み出すもっともシンプルかつ効果的な方法として、こう述べています。
「もし〜なら(What if…?)」という問いから始めること。
たとえば:
- もし人の記憶を売買できる社会になったら?
- もし過去を変えるたびに、未来で一人の人間が消える世界だったら?
- もし人間を“食材”とする異種族と共存するための料理人がいたら?
これらはすべて、**問いから問いへ、読者の想像を連鎖させる力を持つ“物語の核”**です。
◾️コンセプトとアイデアの違い
よく混同されるのが「アイデア」と「コンセプト」。
種別 | 内容 | 例 |
---|---|---|
アイデア | 断片的な思いつき | 異世界、喋る猫、学園バトル |
コンセプト | 構造と問いを持つ設定 | 喋る猫が、主人公の失われた記憶を知っている世界 |
そして、“コンセプト”をさらに強化したものが、「ハイ・コンセプト(High Concept)」と呼ばれます。
◾️ハイ・コンセプトとは何か?
ハイ・コンセプトとは、たった一行で「それ面白そう!」と思わせる力を持つコンセプトです。
- もしも地球最後の人間が吸血鬼だったら?(『アイ・アム・レジェンド』)
- もしも夢の中で他人の記憶を盗むプロの泥棒がいたら?(『インセプション』)
- もしも死後の世界が地獄の就活だったら?
ポイントは、「シンプルなのに展開の可能性が広く、強い問いを含んでいる」こと。
一つの普通のコンセプトを、もう一つの普通のコンセプトと掛け合わせることで“爆発力”を生むこともあります。
◾️アイデア出しの重要性に気づいたこと
自分自身、この「もし〜なら」という問いを繰り返す中で、
物語の面白さは「最初の問いの鋭さ」で決まることに気づきました。
「いいコンセプトが思いつかない……」というときは、まず量を出すことが大事。
最初から“完璧な1本”を狙うのではなく、20〜30本の「もし〜なら」を出してみる。
その中から自然と、「これは広げられる」「これは読者を惹きつける」と感じるものが見えてきます。
問いから問いへ、連鎖するイメージで物語を深めていく。この感覚が、創作を変えてくれました。
◾️おわりに|コンセプトは“問いの連鎖”で光る
良い物語とは、感動ではなく**「問いの構造」**で設計されるもの。
その設計図の最初の1行が、コンセプトなのです。
「もし〜なら」の発想法を活用し、たくさんのアイデアを出してみてください。
そして、それをどう“読者が気になる問い”に変換するかが、コンセプト作りの本当の鍵になります。
本記事はラリー・ブルックス氏の著書『工学的ストーリー創作入門』(フィルムアート社)から学んだ知見をもとに、小説創作に役立つよう整理したものです。
次回は、「人物(キャラクター)」について深掘りしていきます。
お楽しみに!