こんにちは、創作大好きなみなさん!
今回は、物語作りを“感覚”ではなく“設計”で考える——そんな「工学的アプローチ」に基づいたストーリー創作術をご紹介します。
この記事は、ラリー・ブルックス著『工学的ストーリー創作入門』(フィルムアート社)という書籍をベースにまとめたものです。
原書は映画脚本向けに書かれていますが、私自身、小説を書く上でも非常に有効な知識だと感じました。
“6つのコア”でストーリーを構築する!
この記事では、物語を形にするために必要な **「4つの基本要素」**と、物語を実際に書くための **「2つの技術」**を解説していきます。
◾️【1】物語の「4つの基本要素」
まずはストーリーの土台を構成する要素です。感動的な物語も、熱いバトルも、じんわり心に残る青春譚も、この4つがしっかりしているかどうかで完成度が大きく変わります。
① コンセプト(Concept)
その物語は“何を描こうとしているのか”?
読者に「この話、面白そう!」と思わせる核となるアイデアです。たとえば、
- 「死後の世界で料理バトルをする少年」
- 「記憶を失った猫が、人間の姿で真実を探す物語」
など、一文で説明できるのが理想。物語の世界観やルール、雰囲気までもぎゅっと凝縮した「企画書の1行目」になる部分です。
② 人物(Character)
誰がこの物語を動かすのか?
ただ“設定のあるキャラクター”ではなく、読者の感情を動かす“ドラマを持つ人物”であることが重要です。
- 主人公はどんな欲望・恐れ・悩みを持っているのか?
- 物語を通じてどのように変化するのか?
物語の心臓部といえる存在です。
③ テーマ(Theme)
その物語が伝えたい“本質的な問い”は何か?
「家族とは?」「自由とは?」「本当の強さとは?」など、物語の裏に流れる“メッセージ”のようなもの。
テーマは読者に明示する必要はありませんが、作者の中にしっかりと持っておくことで、物語に一本の芯が通ります。
④ 構成(Structure)
物語は、どんな順番で展開されるのか?
代表的なのは「三幕構成」や「起承転結」ですが、大事なのは「どの順番で何を読者に見せるか」を意識すること。
- いつ主人公の過去を明かすか?
- どこで物語をひっくり返すか?
- ラストは余韻を残す? 驚かせる?
プロットの設計図こそが、構成です。
◾️【2】物語を書く「2つの技術」
上記4つを考えたあとに、実際に「どう書くか」を決めるのがこのパート。物語を読む“体験”に直結する部分です。
⑤ シーンの展開(Scene Progression)
どんな場面で、どんな順番で、物語が進むのか?
物語は“場面”の連続でできています。各シーンが「前のシーンを受けて」「次のシーンを期待させる」ようにできていれば、自然と読者を引き込めます。
- シーンの目的(情報、感情、行動の変化)
- シーンの配置(静⇄動のリズム)
- カットの切り方(視点や時制の変化)
などがポイントです。
⑥ 文体(Style)
どんな語り口で、物語世界を伝えるか?
テンポ、語彙、比喩、視点。すべてが読者の“読書体験”に影響します。
- 地の文がユーモアに富んでいる
- キャラの一人称視点で主観に浸れる
- 美しい風景描写で余韻を残す
など、文体は“作品の個性”そのものとも言えます。
◾️おわりに:ストーリーは“感動を設計”するもの
物語はただの思いつきではありません。
6つのコアを意識することで、より深く、より面白く、そして読者の心に届くストーリーを“設計”することができます。
「アイデアはあるけど、話がうまくまとまらない」
「世界観やキャラは考えたけど、どこから書けばいいか分からない」
そんな方こそ、まずはこの“6つ”を紙に書き出してみてください。
本記事はラリー・ブルックス氏の著書『工学的ストーリー創作入門』から得た知見を、自分なりに小説創作にも活かせるよう整理したものです。
物語を“科学”しながら書きたいという方に、ぜひ手に取ってほしい一冊でもあります。
次回は、それぞれのコアをもっと具体的に深掘りしていきます。
お楽しみに!